勇気と強さは恋をするために備わった力
それは、恋をするために
神様が、わたしたちに下さった、力。
ネットでも、知人の紹介でも、
知り合うということだけならば、簡単だ。
その膨大な出会いの機会から、
縁の繋がりを見つけ出し、
縁を紡いでいくということは、
広い海原へと、飛びこむ勇気と、
泳いでみる勇気とが、必要だ。
ネットという媒体をきっかけに始まる恋というものは、
良縁だったとしても、
素直に公表しづらいものだ。
それでも、ネットと言う海原へ飛びこみ、
縁を見つけ、恋をしている人々は、
勇気があるのだと、思う。
知人の紹介、
結婚情報サービスでの紹介、
お見合い、
ネットでの出会い、
どれも、これも、
人との知り合う切っ掛けとしては、同じチャンスなのだ。
始まりの形は違うかもしれないが、
その、次、
次の時間を、踏み出すことが、出来るかどうか、
それが、大切なんだと思う。
勇気というものは、
恋をする相手に、出逢うために、
備わった力なのだと、思う。
強さというものは、
恋が終わりを迎えた時、
死んでしまわぬように、
与えられた力なのだと、思う。
出会いを見つけるための、
人類史上最強のツールを携えた、
今を生きるわたし達は、
神様が下さった力を、
ちゃんと、使っているのだろうか。
なんとなく、
勿体ない、いや、間違った使い方を、している。
そんな気がした。
■前に書いたネットから始まる恋愛の話■
☆You've Got Mail~話が聴きたくて☆
わたし達の春は、
メールのやり取りで始まった。
「You've Got Mail」
まだAOLが日本でもサービスをしていた頃、
映画館で独りで観た映画。
ネット上で知り合った、名前も顔も知らない誰かと、
メールのやり取りをしながら、お互いが惹かれあっていく。
ロマンティックなコメディ。
十数年の時が流れ、
そんな恋愛も「アリなんだ」なんて、
躊躇う人も、居やしないだろう。
けれど、
速度の遅い回線で、ネットに繋いでいた頃、
そんな恋愛をする大人は、
まだ少なかったはずだ。
少々、不埒な掲示板で知り合った私たちは、
フリーメールの往復書簡を始めた。
毎日、毎日。
どんなに帰宅が遅くとも、
そのメールは届いた。
東京に居る日は、ネットカフェから、
自宅に帰った日には、決まってかなり遅い時間に。
取り留めのない、日常が綴られる。
わたしは、それに返事をする。
毎日、毎日。
わたしも、メールが待ち遠しくなり、
あの人も、誰かが「聴いてくれること」を喜んでいた。
メールを「聴く」とは、可笑しな表現だけれど、
確かに「聴いているように」わたしも、思えた。
「今日は早いけど、直帰です」
「独りで蕎麦屋で夕飯です」
「接待で、飲みすぎました」
「土曜は、独りで買い物にいってみた」
「君は、何してたのですか」
一日の終わりに、
誰かに話しかける様、
その日の出来事が綴られる。
聴いているのは、
わたし。
独りで過ごす、時間。
ひどく孤独で、ひどく淋しくて。
そんな姿が、聴こえ、見える。
あの人を、
淋しがらせている者は、誰?
そして、わたしもまた、
名前も顔も知らない、あの人に、
聴いてほしいと思った。
返事が欲しくて、言葉を返す。
誰も傍に居ない、淋しいわたし。
あの頃も、今も、
未だ理解できないことがある。
「連休は何しているの」
「わたしは、予定は未定タイプです」
「僕は、そうも言ってられなくて」
「日帰りの家族サービスでドライブです」
「温泉に寄ってきたよ」
「ずっと運転しっぱなしで」
「疲れた」
11時半。
ニュース番組を見始めた時間。
あの人は、ようやく独りになる。
やっと静かになったリビングで、
パソコンに向かう。
名前も顔も知らない誰かに、
話を聴いてほしくて。
名前も顔も知らない誰かの、
話が聴きたくて。
「今度、お茶でも、しませんか」
「OK」
お互いが、惹かれることは、
もう、決まっている。
あの頃も、今も、
未だ理解できていない、ことがある。
何に、不満なのか、
何が、そうさせているのか。
ただ言えるのは、
夫婦という関係は、
所詮は、他人だということ。
他人だけれど、
家族なのだ。
家族なのだけれど、
男と、女なのだ。
それを忘れてしまった時、
気持ちが、彷徨うものなのだ。
そして、彷徨った訳を聞かれたなら、
素直に謝ることしか、出来ない。
それが、夫婦というもの。
謝る側と。
許す側と。
原因はどこにあるのか。
許す側は、
自分に原因があるとは、
崖っぷちに立たされ、
初めて知ることになるものだ。
男と、女である前に、
今は、家族だから。
家族には、
内緒にしたい、
それが「原因」なのだから。
あの人と、
わたしと、
もう一人の女と、
「You've Got Mail」
恋に落ちるとか、恋がしたいとか、
セックスレスだとか、セックスがしたかっただとか、
理由はいくらでもあるけれど、
結局のところ、淋しい大人は、
「誰かに話を聴いてほしかった」
ただ、それだけ。
それだけ。
ただ、それだけのこと。
忘れた頃に、思い出す。
そんな季節。
今年も連休の季節が訪れる。
思い出したくもない、季節。
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このブログは事実に基づくフィクションであり、実在の人物・地名・団体・事件などにはいっさい関係ありません。
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